相続した固定資産の減価償却
ここのところ法定調書の電子申告をするのに四苦八苦していて、とてもブログを書く気分になれずにいました。
国税庁のe-Taxヘルプデスクは有料なのに、サポートしてくれるはずの女の子(?)は丁寧語を一生懸命使うことだけに神経を使っていて、結局何を言っているのかわかりませんでした。「この現象の原因は一体何なの??」のままです。
なかなかはかどりません。
相続の申告に続いて、相続人の方の初めての不動産所得の申告もすることになったので、相続した固定資産を減価償却ソフトに登録して準備を進めることにしました。
ところが、平成19年4月1日以降の取得なので「定額法」を選択するのですが、どうしても「旧定額法」に戻ってしまいます。
なぜ???
相続で減価償却資産を取得した場合には、被相続人の取得時期、取得価額、未償却残高を引き継ぐはずなのに、ソフトはそれを許してくれません。
もう一度税法を確認してみることにしました。
所令126条(減価償却資産の取得価額)
mudarbahは何ですか?
1 減価償却資産の第120条から第122条まで(減価償却資産の償却の方法)に規定する取得価額は、別段の定めがあるものを除き、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に掲げる金額とする。
一 購入した減価償却資産
ニ 自己の建設、制作又は製造に係る減価償却資産
三 自己が成育させた第6条第9号イ(生物)に掲げる生物(牛馬等)
四 自己が成熟させた第6条第9号ロ及びハに掲げる生物(果樹等)
五 前号各号に規定する方法以外の方法により取得した減価償却資産
(取得価額とする金額の詳細は省略)
2 法第60条(贈与等により取得した資産の取得費等)に掲げる事由により取得した減価償却資産の前項に規定する取得価額は、当該減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみなした場合における当該減価償却資産のこの条及び次条第2項の規定による取得価額に相当する金額とする。
「当該減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみな」すのですから、取得時期、取得価額、未償却残高をそのまま引き継ぎます。
所令120条の2(減価償却資産の償却の方法)
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平成19年4月1日以降に取得された減価償却資産の償却費の額の計算上選定できる法第49条第1項(減価償却資産の計算及びその償却の方法)に規定する資産の種類に応じた政令で定める償却の方法は、次の各号に定める方法とする。
一 建物 定額法
ニ 第6条第1号(減価償却資産の範囲)に抱える建物の附属設備及び同条第2号から第7号までに掲げる減価償却資産
イ 定額法
ロ 定率法
(以下省略)
所基通49-1(取得の意義)
令第120条第1項及び令第120条の2第1項に規定する取得には、購入や自己の建設によるもののほか、相続、遺贈又は贈与によるものも含まれていることに留意する。
平成19年4月に減価償却の大改正があり、その取得時期によって減価償却方法が異なりますが、取得には相続も含まれるので、平成21年に相続した減価償却資産は定額法(届出を提出していれば建物以外は定率法等も可能)のはずです。
それで今度は国税庁のHPを検索してみたところ、ずばり、『平成19年4月1日以後に相続により減価償却資産を取得した場合』が解説されてました。
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平成19年4月1日以後に相続により減価償却資産を取得した場合|所得税目次一覧|国税庁
未償却残高が取得価額の5%相当額の建物を引き継いだ事例です。
被相続人は平成19年3月31日以前に取得しているので5年均等償却ですが、相続人は単純に定額法で計算しています。
うまく頭の中を整理できていなかったようなので整理してみます。
・相続した減価償却資産は、取得価額と未償却残高をそのまま引き継ぐ ・「相続」も取得に該当するので取得時期は相続開始の日となる・減価償却方法を引き継ぐことはできない
譲渡所得での取得時期は被相続人の本来の取得時期を引き継ぎますが、減価償却の計算においては"相続開始の日=取得時期"となり選定できる償却方法も残存価額の考え方も変わってしまいます。
会計ソフトには"取得日=被相続人の本来の取得日" "事業供用日=相続開始日"を入力していましたが、それではダメだったようです。
取得日に相続開始の日を入力したところ、定額法を選ぶことができました。
今回の相続では、取得時期が古く、被相続人は旧定率法を選定していたこともあって、最近の償却額が少ないものが多かったのですが、相続人が原則の定額法を採用した場合は一挙に1年か2年で簿価1円まで償却が進んでいくことがわかりました。
国税庁の事例でも相続2年目には簿価1円まで償却できます。
被相続人がそのまま所有していればあと4年かかっていました。
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