金井啓子のニュース・ウオッチ
大阪のダブル選挙は、地域政党「大阪維新の会」の橋下徹候補と松井一郎候補が、市長選と府知事選でそれぞれ大勝して幕を閉じた。これにより、橋下大阪市長、松井大阪府知事のペア首長が誕生する。
27日午後8時の投票締め切りと同時に、多くのメディアが橋下・松井両候補の当選確実を報じた。報道機関の事前の世論調査では接戦が予想されていた。だが、予想外の大勝に当確報道も早まったようだ。
NHKは、東京では通常通り8時から放映した大河ドラマ「江」を、大阪では30分繰り上げて放送し、8時43分から選挙特番を放送した。また、地元の毎日放送も8時からのラジオ特番で、当選直後の両候補の声などをいち早く報じた。
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市長選の投票率は40年ぶりに6割を上回り、前回からも大きく上昇。事前予想では、投票率が低い場合には、自民・民主・共産が相乗りして応援した平松候補が有利、逆に投票率が高いと橋下候補に有利と言われていた。27日の大阪は晴天にめぐまれたこともあって、投票率が伸びたのだろう。だが、それよりもやはり橋下候補に対しての期待感が強く、投票所に足を運んだ有権者が多かったのかも知れない。
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景気低迷に悩む日本の中でも、生活保護申請率や失業率の高さなど、都市のマイナスイメージと閉塞感がきわだつ大阪。選挙期間中に筆者は、政治評論家のトークライブや、橋下氏と平松邦夫現市長の両候補による討論会などに足を運んだ。そこで聞いた橋下支持者の声には共通した響きがあった。それは「橋下さんなら何かやってくれるかも知れない」というものだ。具体的にこれをやって欲しいという要望があるわけではない。だが、「今のままでは困る。何かをやって変えて欲しい」という漠然とした期待が、今の大阪市民には強いのだろう。それはまず、やはり大阪の景気をどう回復させるかということになる。市民の経済的な潤いを改善せずして、この閉塞感はなかなか打破できないはずだからだ。
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当選確実の報が届いてまもなく、市内のホテルで支持者らと共に万歳三唱をした橋下新市長は第一声、「まずは有権者に感謝したい」と語った。だが、その後は「市職員、教育委員などの行政組織には、この結果をよく受け止めて欲しい。民主主義の中の一番重い判断だ。政治に踏み込み過ぎる職員が多過ぎる」など、行政への対抗意識をむき出しにした発言が続いた。景気など市民の生活に直結する部分が一番に挙がらないところは、新市長としての仕事にどう表れてくるのか、注目したい点である。
今回の選挙では、特に市長選で両候補が互いの悪い点をあげつらう、いわゆる「ネガティブキャンペーン」の色合いが濃くにじむ場面が多々あった。平松候補は橋下候補による「独裁」への懸念をたびたび口にし、橋下候補は平松候補が「既得権益を守っている」といった「口撃」を繰り返した。こうしたネガティブキャンペーンは米国などでよく見かけるが、日本の選挙ではまだ珍しい手法ではないだろうか。橋下氏が歴史的な勝利を収めたことを受けて、こういったやり方が日本でも広まっていくのか、ここも今後見守っていくべきところだろう。
選挙を終えた記者会見で「ノーサイド」と語った橋下新市長。橋下氏が市長に当選すれば、平松現市長のそばで働いていた「平松派」の市職員を「粛清」するのではないか、などという穏やかならざる噂も選挙前には聞こえていた。だが、遺恨を引きずるよりも、平松現市長がなしとげたことを土台として着実に生かし、さらなる市政の改善に務めれば、「何かやってくれるかも知れない」という期待にこたえる早道につながるのではないだろうか。
(筆者は近畿大学文芸学部准教授。2011年11月まで「金井啓子のメディア・ウオッチ」を連載)
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